データヘルス計画

超高齢化の進展に伴い、働き盛り世代からの健康づくりの重要性が高まる中、政府が発表した「日本最高戦略」(2013年6月)で、国民の健康寿命の延伸を掲げました。

これにともない、全ての健康保険組合ではデータヘルス計画を策定し、2015年4月よりスタートしました。

  • 解説
POINT
  • データヘルス計画とは、医療費データや健康診断データなどのデータ分析に基づいて、PDCAサイクルで効率的・効果的な健康づくり事業を行うものです。

データヘルス計画の目的

2013年6月に政府が閣議決定した「日本再興戦略」の中で、「国民の健康寿命の延伸」が重要施策として掲げられています。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、健康寿命を延伸することで健康寿命と平均寿命の差(日常生活に制限のある健康でない期間)を縮めることが重要です。データヘルス計画はその実現に向けた計画です。

データヘルス計画の特徴

データヘルス計画は、PDCAサイクルに沿った事業運営を行います。レセプトや健診情報等を活用したデータ分析を行い、組合の医療費の状況の把握、健康リスクの階層化、保健事業の効果が高い対象者の抽出等を行います。やみくもに事業を実施するのではなく、データを活用して科学的にアプローチすることで事業の実効性を高めていく。これがデータヘルス計画のねらいです。

データヘルス計画の作成と評価・見直し

現状を構造的に把握する

  1. 現在の取り組みの棚卸し(加入者の属性、事業所の概要を整理し、健康保険組合・事業主の取り組みを振り返る)
  2. 基本分析で現状把握(健診・レセプトデータ等から現況を把握)
    1. 事前準備:特定健診・特定保健指導の実施状況、特定保健指導の対象者割合の把握
    2. 保健事業の対象とすべき疾病の把握:顕在化した医療費、潜在的なリスクの把握
    3. 詳細な把握:問題の構造化

健康課題を優先順位づけする

現状把握から見える健康課題を抽出し、優先順位づけ。併せて対策の方向性を整理。

課題解決に資する事業を選定し、目標・評価指標を設定する

健康課題を解決するための保健事業を「保健事業の基盤」、「個別の事業」ごとに選定。目標と評価指標を設定し、対象及び方法を検討。

保健事業の実施

事業評価と見直し

評価指標で目標達成を確認し、必要に応じて計画を見直す。

  • 出典:データヘルス計画作成の手引き(改訂版)(厚生労働省 保険局、健康保険組合連合会)

アイシン健保の取り組み

データヘルス計画では、下記の2項目を事業主と協業して取り組みます。

  1. 生活習慣病を予防していくため、40歳以上の特定健診受診率の向上並びに特定保健指導実施率の向上を図ります。
  2. 健康診断のデータとレセプト(診療報酬明細書・調剤報酬明細書)の情報をもとに、医療機関への受診が必要にもかかわらず、受診されていない方へ受診勧奨を行います。
  • ※データヘルス計画推進のため、事業主から健康保険組合ヘ特定健診・特定保健指導データの提供を、健康保険組合から事業主ヘ医療分析データの提供を行います。個人情報の取り扱いについては、使用目的をあくまで生活習慣病対策に限定し、国が定めたガイドラインを踏まえて、個人情報保護法を遵守します。

事業主との共同事業「データヘルス計画」における個人情報の取扱い

1.背景

2014年に厚生労働省が「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」を改訂し、2015年度から、健康保険組合による「保健事業実施計画(データヘルス計画)の策定、実施および評価」が必要になりました。具体的には、健診のデータと医療機関からの診療報酬明細書(レセプト)の突合分析によりデータに基づいた健康づくり事業のPDCAを回し、効果的な事業を実施していくことです。

2.当健保の取り組みと個人情報の扱い

「データヘルス計画」を推進していくため、当健保は事業主と共同で疾病予防に取り組んでいきますので、個人情報の取り扱いについて、以下のとおり公表いたします。

個人情報保護法では、個人データを特定の者と共同で利用する場合には、

  1. 共同事業で個人データを利用する趣旨
  2. 共同して利用する個人データの項目
  3. 個人データを取り扱う人の範囲
  4. 取り扱う人の利用目的
  5. データ管理責任者の氏名または名称

について、あらかじめ本人に通知または公表することとされています。(個人情報保護法 第23条 第2~5項)

当組合では、共同事業内容の公表を、本ホームページへの記載をもっておこなうことといたします。
「データヘルス計画」における共同事業は、以下のとおりです。

レセプト情報および健診データの突合による疾病予防事業(主に生活習慣病)

  1. 共同事業で個人データを利用する趣旨

    被保険者および被扶養者の疾病予防対策の一環として、レセプト(診療報酬明細書・調剤報酬明細書)の情報および健診データの突合分析を実施し、その分析結果をもとに受診勧奨および保健指導を、事業主と当健保が共同で実施する。

  2. 共同して利用する個人データの項目

    医療機関受診実績、労働安全衛生法第66条に基づく健康診断、高齢者の医療の確保に関する法律第18条~第25条に基づく特定健康診査、特定保健指導のデータ

    ○共同利用する健診データ項目

    ・身体計測 ・視力 ・聴力検査 ・尿検査 ・血圧 ・心電図検査 ・血液検査 ・胸部X線 ・胃部X線 ・大腸検査 ・歯科検査 ・問診票 ・検査判定

  3. 個人データを取り扱う人の範囲

    当健保:保健事業担当者、常務理事、事務長
    事業主:保健業務担当者、保健業務責任者

  4. 取り扱う人の利用目的

    健康診断・特定健康診査・特定保健指導データとレセプト情報の突合分析により疾病予防対策を立案、実施し、効果検証を行う。

  5. データ管理責任者の氏名または名称

    当健保:常務理事
    事業主:保健業務責任者

特定健診制度との関係

特定健診制度は、健診データを電子的に標準化し、データに基づき保健事業のPDCAを回すことをねらいとしています。また、特定健康診査等実施計画は、保健事業の中核をなす特定健診および特定保健指導の具体的な実施方法等を定める計画であることから、保健事業を効果的かつ効率的に実施できるよう、データヘルス計画と特定健康診査等実施計画とは相互に連携して策定することが望ましいとされています。

計画の期間および公表・周知

第2期データヘルス計画の期間は、2018年度から2023年度までの6年間です。2018年度から2020年度までを前期、2021年度から2023年度までを後期に区分けし、前期終了時に中間評価が実施される予定です。
また、保健事業の目的や内容が加入者、事業主等の関係者に理解され、事業の実効性が高まるように、データヘルス計画はホームページや広報誌等で公表され、関係者への周知が図られることになっています。